現在の日本では、子どもの育つ環境だけでなく、「子どもの生きる権利」さえおびやかされています。虐待をはじめ、いじめや自殺はあとを絶たず、不登校、引きこもりも社会問題になっています。また、乳幼児期における支援策は不十分で親、ことに母親に過大な負担が集中しています。
妊娠、出産後も働く女性が増えたとはいえ、まだまだ性別役割意識が根強く残っています。少子化や核家族化、地域社会の崩壊に加え経済が不安定な時代になっています。子育て情報は氾濫しているものの自分なりの子育て観をもちにくく、育児不安や孤立感、閉塞感などによるストレスから、子どもに虐待をしてしまうケースもあり、深刻な社会問題となっています。乳幼児に触れ合う機会が少ないまま親となり「我が子の子育てはこれでいいの?」と不安に感じるのも無理のないことでしょう。
社会全体で、親も子もサポートをしていく必要があります。みんなの助けを借りながら、男性も女性も子育てを楽しみ、人と人とのいい関係をつくることによって、子どもが安心して過ごせる社会ができます。そして、次代を担う子ども達が健やかに育つことができるのです。
高度経済成長期たしかに経済は発展し、生活も便利になりましたが、地域の支え合いは少なくなり、家庭での人間関係も希薄になる中で、子どもたちの多くは大人への信頼が揺らぎ、この国で生きていく希望や夢を失いかけています。
子育てが、大家族・隣近所・親戚などたくさん の人の見守りの中で育まれてきた時代と違って、現在は意図的に社会で支える仕組みが必要です。私たちはこれまでの価値観を問い直し、長期的な視野で子どもが育つ社会を再構築していく必要があります。
そのために私たちがしなくてはならないことは、
●子育ては社会みんなの手で”という合意形成と「子どもの育ちを喜びあえる地域社会」を再生すること
●子どもを人として尊び、大人も子どもも、学びあい、育ち合っていくという「子ども観」を形成すること
そのための支援のしくみづくりを行うこと
これらのことを実現するために、のびーの宮崎は学童保育を中心に活動を行い、学齢期の子ども達を様々な大人たちが、支援していきます。その大人たちとは、学童クラブの指導員だけでなく、学童保育を利用する保護者や地域の人たちです。
支えられるのは子どもたちだけではありません。私たち大人も互いに支えあい、子ども達とともに学び、ともに成長して行きたいと考えます。そして、学童保育を運営することで、「子育て」を通して学んだことを地域へ発信し、「子どもと育つ」まちづくりに貢献できたら、すばらしいことだと思っています。 この法人の設立に賛同した私たちは、保護者が安心し、利用する側の視点に立った学童保育の運営に協力していくことを決意しました。
また地域各団体と市民、専門家などと幅広いネットワークを形成すると同時に、子どもに関わる諸機関、行政や企業とも連携しながら、「子どもに関する情報収集と発信」、および「子育ての社会化と子どもの育ちを支え合う基盤整備」を進めていきます。
子どもの育ちに関わる営みは、あらゆる世代の交流を生み、人間性を回復していく限りない力を秘めています。子どもに暖かい社会をつくるには、「すべての人がその人らしく生きていくことができる社会」を創っていくことに繋がると信じます。
「市民の手による子どもの育ちを作る地域社会」をめざして、
ここに特定非営利活動法人「のびーの宮崎」を設立いたします。
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